つぶらな目、愛らしいくちばし、丸っこいゆるやかなフォルムを持ったアヒルのおもちゃの形をしながら、高さ9.5mの巨体を誇る「ラバー・ダック」は、オランダの芸術家フロレンティン・ホフマン氏による作品です。2007年に登場した作品ですが、日本では2009年に大阪で初めて展示されました。それ以来、大阪で川や海が近いイベントが開催されると、時々やって来てはイベントを盛り上げてくれます。「海フェスタおのみち~海の祭典2012尾道・福山・三原~」のために尾道に登場したこともありますが、大阪市内に登場することが多いようです。展示の詳細はこちらのページの「アヒルプロジェクト」をご覧ください。今回登場したのはすみのえアート・ビート2017の会場であるクリエイティブセンター大阪(名村造船所工場跡地)です(図「来場者に囲まれる「ラバー・ダック」」)。
「ラバー・ダック」は、クリエイティブセンター大阪のすみのえアート・ビートの常連であり、今回のすみのえアート・ビート2017でも木津川の水を引いた造船所の一角に浮かべられていました。アヒルのおもちゃは可愛らしいのが当たり前ですが、この「ラバー・ダック」は芸術作品らしく特に可愛らしく洗練された仕上がりです(図「「ラバー・ダック」の側面」)。目は大きくまんまるで、頭も丸っこくなっており、鋭さが出てしまうくちばしは小さめにして、ゆるやかな曲線で構成しています。体も、尾や羽が尖った感じにならないように、ゆるやかな曲線で仕上げてあります。また、水に浮かべる展示により、ゆっくりと揺れたり、わずかに回転したりと、静かで優しい動きが作品の優しさを引き立てます。また、単に洗練された造形であるだけではなく、その巨体によりやって来た場所の空気を一変させたり、背景との組み合わせにより印象が異なるのも最大の魅力です。
すみのえアート・ビート2017の会場内には、小型「ラバー・ダック」が様々な方法で多数展示されていました(図「小型「ラバー・ダック」によるタイトル表示」、図「「ラバー・ダック」に見守られる小型「ラバー・ダック」たち」)。
近隣のスタンプラリーのチェックポイントには、中型「ラバー・ダック」が街のささやかな作品の側に設置されていました。街の環境に貢献すべく建設された噴水に設置されたり(図「噴水に設置された中型「ラバー・ダック」」)、路上観察の世界では原爆タイプなどとおどろおどろしい名前の付いた建物撤去後の線を活用した街頭アートに向き合って設置されたり(図「ロバの絵と向かい合う中型「ラバー・ダック」」)しています。街のささやかなデザインの心遣いに気づくきっかけになるのではないでしょうか。もちろん、「ラバー・ダック」の小型も中型も可愛らしい造形は健在です。
すみのえアート・ビート2017に登場した「ラバー・ダック」をご紹介しました。「ラバー・ダック」は可愛らしさと、やって来た場所の空気を一変させる巨大さを持った不思議な作品です。さらに、イベントのときにしか見られないレアさもありますので、見てみたいと思ったなら、イベント情報には十分に注意しておくのが良いでしょう。